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全社最適を目指し、ERPシステムの導入へチームメンバーの自律意識を高めプロジェクトの成功をサポート
- Writing
- Azusa Okajima
- Photo
- Sayaka Mochizuki
株式会社エス・エム・エス
中澤 牧子さん 経営管理本部 財務企画部長
エス・エム・エスは2003年に設立以来「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」をミッションに、医療・介護・ヘルスケア・シニアライフを高齢社会に求められる領域と捉え、価値提供先であるエンドユーザ・従事者・事業者をつなぐプラットフォームとしての情報インフラを構築し、40以上のサービスを展開している。従業員数は連結3,703人、単体2,343人(2023年3月31日時点)、国内に3社、海外アジア・オセアニア等17の国と地域に広がっている。 https://www.bm-sms.co.jp/
●課題――PMO人材・メンバーに向き合う時間の不足
――最初に、どのような困りごとを解決したいと思われていたか教えてください。
まず、スポットプロジェクト特有のリソース不足に困っていました。
meguriさんにお手伝いいただいたのは、2021年4月頃から立ち上げた「ERP(企業活動の基幹をなす業務を統合的に管理するシステム)に関するプロジェクト」です。「会計システムを中心としたお金に関わるオペレーションを、一気通貫かつ全社最適で構築しよう」、というコンセプトを元にスタートしました。
当時、購買グループは別の部署のグループだったのですが、コンセプトの実現に向けてより深い連携が必要と判断し、組織をまたいで財務企画部にグループごと異動していただき、当該プロジェクトに参画いただきました。
購買グループは私を含め3名で日々のオペレーションを回しています。新たにプロジェクトに割く時間を捻出するために、チーム内でルーティン業務の効率化は行ったものの、毎週行われるベンダーさんとのワークショップ、事業部へのヒアリング、議事録作成、タスク管理といったプロジェクト特有の作業をメンバー2名で行うには、リソース的に限界があり、一時的なPMO(プロジェクトマネジメント支援)人材を必要としていました。
もうひとつは、メンバーの壁打ち相手の確保です。本来、メンバーの壁打ち相手は購買グループ長も兼務している私の仕事ですが、2021年10月当時は購買グループ長を兼務しつつ、財務企画部の部長に就任することになり、各メンバーとの時間を十分に確保できずにいました。
プロジェクト特有のタスクそのものもサポートいただきたいし、メンバーの業務上の困りごとや、解決すべきことをヒアリングしてタスク整理をするといった具体の支援もしていただきたい。そんな思いから、PMOを一時的に外注することを決めました。副次的な効果として、プロの支援を体感することでメンバーが成長し、ゆくゆくはメンバー自身でPMOができるようになれば……という期待もありました。
――ERPプロジェクトに、meguriをアサインした理由をおしえてください
一番の理由は、前職でもmeguriさんとお仕事させていただき、またお願いしたいと感じたからです。PMOの外注先は少なくありませんが、実務にはあまり入りこんでくださらないケースもあります。
一方、meguriさんはわたしたちの業務内容を理解した上で中までぐっと入り込み、プロマネ以上の「改善」をしてくださることがわかっていました。外部目線も持ちながら一緒に手を動かして、チームの一員としてPMOをしてくださるmeguriさんの代わりは見つからず、お声がけしました。
また、手前味噌ですが「常に変化と自律を求めている」という当社のカルチャーも、meguriさんにお声がけできた理由のひとつです。ERPプロジェクトがスタートした頃、私は入社2年目でした。
社歴に関わらず大きなプロジェクトを任せ、チームで協業しやすいように部署をまたいでグループを動かし、必要な外部人材の選択まで託してくれる会社の懐の深さを感じますし、社員の自律を尊重し、変化をサポートしてくれる会社だと改めて感じました。meguriさんも「自律」を大切にされていると伺いましたが、お互いに近しいカルチャーを持っていたからこそ、共創できたのだと思っています。
――前職でご一緒した際、印象に残ったことなどはありましたか?
最初に全体コンセプトを握り、その後コンセプトに沿った資料イメージを提示いただけるので、無駄なミーティングや認識相違が非常に少なかったです。お互い限られた時間を最大限に活用できる、という点でストレスなく共創できました。
●改善に向けたステップ ――タスク実施に加え、メンバーの自律をサポート
――実際のプロジェクト進行と、その中でのmeguriの役割を教えてください
購買グループのERPパートをざっくりご説明すると、2021年4月から9月にかけてERPの製品とベンダーさんを選定し、10月から翌年3月までは社内で意見を出し合って要件定義を行いました。2022年4月からは設計書レビューを行い、10月から2023年2月にかけてシステムのテストと並行してマニュアルの整備と、購買システム利用者への周知を実施しました。
meguriさんに参画いただいたのは、2022年4月の設計書レビューからです。設計書レビュー自体はチームメンバーで行ったのですが、システムが意図した通りに動くかどうかのテストに向けて、テストシナリオ作成からサポートいただきました。参画から半年間は、購買グループの既存業務と新システムへの理解を深めていただきつつ、meguriさんが得意とされているスケジュール・工数・タスクの管理、そしてチームメンバーの壁打ち相手をお願いしていましたね。
プロジェクトの最終段階である10月以降は、新宅さん(meguriの本プロジェクト担当者)にシステムのテストをしていただき、並行してマニュアル整備をサポートいただきました。テストに関しては、大量のエラーが発生し、相当な負荷があったと思います。申し訳ないし、心配でしたが、新宅さんが「直っていません!!」とその都度明るくフィードバックしてくれたので、チームメンバーも救われていました。
その後、テスト結果のとりまとめ、マニュアルの構成など、臨機応変かつ自律的に対応いただきました。例えば、システムテストの進捗が遅れると、マニュアル作りのスケジュールも変わります。
そんなときも「テストが終わらないので、マニュアル作りもストップしています」ではなく、「別の部分のテストを進めておきますね」といったように、その時できることを自ら探して提案し、実行してくださるので頼もしかったです。「今、一番困っていること」を一つずつ解決し、メンバーが自分の業務に集中できる環境をつくってくださると同時に、チームとして自走できるようにしようと動いてくださるmeguriさんの底力を感じました。
マニュアルについても、「マニュアルは作って終わりではない」というコンセプトを元に、使う方も見やすく、管理する側もメンテナンスがしやすいものを整えてくれました。おかげで、2023年2月に大きな混乱なくシステムを導入できました。2023年8月に新システムへの評価アンケートを全社でとりましたが、概ね好意的な結果をいただいています。
●コンサルを入れた効果――チームで価値を発揮するという意識が芽生えた
――meguriのサポート後、チーム内で生まれた変化はありますか?
一人の社員は「新宅さんに壁打ち相手になっていただき『完璧なアウトプットをしないと』というプレッシャーがなくなった」と話してくれました。新宅さんに「今の時点で考えていることを、遠慮なく吐き出してください!」と、声がけいただいたことが響いたそうです。たたき台を人目にさらすと、ツッコミがたくさん入りそうで怖いですが、提案がブラッシュアップされることも多々あります。meguriさんとお仕事することでそういった経験を重ね、意識が変わったのだと思います。
また、チームメンバーのコミュニケーションが活発になりました。2名のメンバーはルーティン業務が分かれており、お互いの業務について踏み込む機会が少なかったのですが、新宅さんはポンポンと対話を重ねてくださるので、気楽に自分の思いを話したり、質問したりできるようになりました。「積極的に周囲を巻き込もう!」 という意識が持てたそうで、成長を感じます。
さらに、コミュニケーションが活発になったことでメンバーが個々の能力を深く理解でき、「チームとして成果を出そう」と意識してくれるようになったのは大きな変化です。メンバーの二人は得意分野が異なり、これまでは互いを羨ましく思うところもありました。meguriさんと仕事をすることで「自分のできること」に目が向いたというか、「チームで仕事をするのだから、むしろ得意分野が別でよかった!」と、自分の能力をポジティブにとらえてくれるようになりました。
ERPのように1人で対処しきれないプロジェクトを体験したことで、自分にできること、できないことも認められるようになり、各メンバーの自律度が一層高まった気がします。一人で抱え込まず、得意な方に得意なタスクをお願いする、業務負荷の偏りを調整する、一度決めた分担も状況次第で見直す、手が空いたら自ら声がけする、そんな柔軟な動きが生まれました。「チームで価値を発揮する」という意識がメンバーに芽生えたことはリーダーとしてうれしかったですし、現在もその意識は変わらず、生産性向上にもつながっています。